けーはち

劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~のけーはちのレビュー・感想・評価

3.5
『はいからさんが通る』を現代の画と声優でアニメ映画化。朗々と詩歌を詠み上げるようなポエティックな語りがあったかと思えば、おどけたデフォルメ表現など古典少女漫画らしい色合いを織り込みつつも、登場人物を中心点としてカメラをグル~ッと回す(マイケル・ベイが始めたカメラワーク)等の近年の撮影技法が作画に取り込まれたりしてスクリーンに映える。長期連載の前半を97分にまとめたためストーリーには少しダイジェスト感があるが、その分、息もつかせぬジェットコースター大正時代劇ロマコメに仕上がっている。主演は、透明感ある声質で人気の若手実力派声優・早見沙織。劇中の熱演もさることながら80年代のニューミュージック風味香る竹内まりや作曲のテーマソングもジャズの素養を活かし抜群の安定感で歌い上げる。相手役の宮野真守もさすがのイケメンボイスで、優男ながら意外に軍人らしさを見せる面など演技の幅も佳良。劇場アニメとして卓抜という程ではないが標準以上の良作。観てみて損はないし後編も期待したい。