Mikiyoshi1986

ビリディアナのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

ビリディアナ(1960年製作の映画)
4.0
7月29日はスペインを代表する巨匠ルイス・ブニュエル監督の没後34年目に当たります。

彼の残した多くのシュールレアリスム作品が目を引く中、
キリスト教に対して痛烈な皮肉をぶちまけた本作も間違いなく彼の代表作(問題作)に数えられる逸品。

政治的な理由からメキシコに活動の場を移していたブニュエルが久々に故郷スペインで撮影した結果、ものの見事にどえらい不謹慎映画を作ってしまった奇才変態天才なブニュエル先生。

慈善と偽善の間をブニュエル独自の切り口で抉り出し、信仰の欺瞞と現実の辛辣さを目一杯に弄り倒します。

美しき修道女ビリディアナが下界であらゆる受難に晒される一種のフェティシズムも見過ごせないポイント。
修道女の生着替えを出歯亀目線で捉えつつストッキングを脱がせて美脚を露にさせたり、牛の乳搾りをまるで男性器に見立ててイヤらしく握らせたり、とにかく宗教的タブーとエロスと醜悪をごった煮にしたブニュエル・エンターテイメントを展開。

端正な顔立ちのブロンド美女シルヴィア・ピナルは後の主演女優ドヌーヴとも面影が似ており、明らかなブニュエルの好みも窺えます。

そんなビリディアナに惚れ込んでしまう叔父は、実にブニュエルの遺作までを連れ添った名優フェルナンド・レイであり(しかも毎回同じようなキャラね)、そのままブニュエルの変態趣向を見事なキモさと威厳に満ちた演技で具現化してくれています。

「最後の晩餐」のパロディは言わずもがなな名シーン!
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