ビリディアナの作品情報・感想・評価

「ビリディアナ」に投稿された感想・評価

白

白の感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

通念的道徳や宗教に対する過激な挑発として映画は(社会諷刺という言葉では決して物足りない)ブラックユーモアに包まれたペシミズムを以て作品を統一し、非情な現実認識を付与する。
まずキリスト教上の悪徳が映画中で散見される。少女の「大きな牛が来た」という発言において牛とは怠惰≒堕落を象徴する。またホルヘが犬を貰い受ける件において、犬は(飽くなき)羨望を象徴する(同時にここでは動物虐待も仄めかされる)。無論上記だけでなく七つの大罪及びその象徴が随所に散見される。これらモチーフはそれだけでカトリックに対する挑発行為であると同時に登場人物の未来像を客体に予感させる。つまり物語はその溢れ出る不道徳と涜神性を以て神、聖なるもの、キリスト教、合理性、一切の美徳を否定する。次第に浮かび上がる混沌へと私たちは引きずり込まれ、今いる現実に対し過酷な問題提起を投げ掛けられるのだ。
無意識的に発動する本性として夢遊病は劇中に登場する。ビリディアナは灰(キリスト教的解釈における死·罰)を拾い上げ持ち帰る。博愛的な優しさが表れている一方で、その時同時に彼女の手はその灰によって汚されている。「死」を契機にビリディアナは乞食救済のためユートピア建設を志す。盲人、癇癪持ち、色情狂、ハンセン病罹患者といった乞食のヴァリエーションと彼ら彼女らの生活はまさしく現実世界の大衆に呼応している。大衆はその脆弱性を文化として自負しながらも、その欲望に止め処ない。結果として乞食等はビリディアナの厚意に付け上がり、終末的な混沌の様を齎す。ここでまるで共産主義的理想像として描かれるビリディアナのユートピアの顛末は、擬似宗教としての共産主義とキリスト教を呼応させ、物語の平行線上でそれらの堕落や無価値を諧謔的に諷刺する。懇意を濫用された果てに二度目の強姦を受けてビリディアナは自己の中核を為した信仰を見失う。そしてビリディアナと世界の輪郭は崩れて行く。なおエンディングに至るまでこの作品は不道徳的示唆を一貫する。しかし後味は不快感に占められることなく、全く蠱惑的である。ブニュエルの描く涜神性が寧ろ非常に愉快であるのは、作品が時代性を敷衍し、猜疑の眼差しの向けられることのないその根底を見事に指摘したからだろう。ビリディアナの行動は設計主義と進歩への欲望を否定した。設計主義に踏まえ例えられる人造国家アメリカとソ連もまた気づかぬ内に作品による非難の対象となる。ブニュエルの描く悪意と不思議に感無量。フレーミングも構成も好き。
buccimane

buccimaneの感想・評価

4.0
イメフォーで見逃したやつ見てきたけど面白かった。
序盤の乳搾りはロマンポルノみたいな前フリだなと思ったけど。
しかし息子はバカボンかと思ったけどなかなか冷静ないい男だったな。
自分もあの女性が1番美しいと思ってたけど黒い服着た途端に勝利が確定するのがまさに黒い牛ことサタンの力といった感じ。
アンチクライスト。
saeta

saetaの感想・評価

4.2
このアナーキーで無根拠な感じがたまりません!

エロ親父っぷりが最高なブニュエル組のフェルナンド・レイ、ロシアより愛をこめてのダニエラ・ビアンキを思い起こすビリディアナ役のシルヴィア・ピナルがいい味出してた。

ブニュエルはたまに無性に観たくなるな。
Tyga

Tygaの感想・評価

3.7
ブニュエルは脚フェチ。

何をしても裏目に出るビリディアナ。
浮浪者たちも「施し」などは求めていなかったことが、あの乱痴気騒ぎで明らかになる。
可哀想という感情は必要ない。

ブニュエル作品の中では割とわかりやすいラストだと思うけれど、だからこそカメラの動きの正解感が半端ない。
なんだこれ....おもしろ....

ルイス・ブニュエル.....つよ....

恵比寿....
たく

たくの感想・評価

3.7
ストイックな修道女がフェチ老人の人生を狂わせ、気を取り直した施しの行いが結果的に偽善となり、最後は髪を下ろして世俗に堕ちる感じが怖いね。

フェチ老人は「小間使いの日記」でも残酷な描かれ方してたな。
これは楽しい。ただビリディアナがロクな目に遭わないだけの映画。最後には猥褻なブルースがハレルヤに勝つ。足がいいね!
邹启文

邹启文の感想・評価

5.0
ルイス・ブニュエルって、めちゃくちゃ皮肉とかユーモアとか大好きなんだろうな
ただそのアイデアを一つの映画としてまとめ上げるのもすごいうまいよな
dude

dudeの感想・評価

4.1
猛烈に面白い。意味はともかく、分かりやすい滑稽さと映像の快感が続いて退屈する暇もなくあっという間に終わる。無為に生きればいいじゃない、というのは大した信条のない人間の言い草かもしれないが、キリスト教に向けた意地悪にそこまで付き合ってもね...。
志摩

志摩の感想・評価

4.3
慈善行為も信仰も結局自己満足にすぎない?
どこまでもなにもかも噛み合わないで失うばかりのビリディアナ
最後の晩餐を模倣して大笑い、メサイアで踊り狂う
教会で物乞いをしていても、ビリディアナに言われるままお祈りを捧げていても、信仰心はない。
彼らはただ『生きて』いるだけ。

ヴェールも外して寝室へ行ったのにカードゲームに参加させられたビリディアナの表情、シュールとはこのこと
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