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残像のmiyuのレビュー・感想・評価

残像(2016年製作の映画)
4.0
アンジェイ ワイダの遺作。
ポーランドって国は本当に可哀想な国だ。

ワイダ監督の『カティの森』を見た時も、ひどくその様な気持ちになったが
この作品を見ていても、ポーランドの歩んだ苦しい時代、圧政に虐げられて、善良な人々が国の体制に否応なく飲み込まれる様を見ていると、悲哀を感じる…

第2次世界大戦中に ドイツとソ連から抑圧され、戦後もソ連の社会主義国家の枠組みに組み込まれ、全体主義にならざるを得なかったポーランド。。。

東ドイツの『善き人のためのソナタ』を見た時の様な、社会主義国家の息苦しさ!
監視され、管理され、自由を奪われる社会…

前衛的な画家であり、大学で教鞭をとるヴワディスワフ ストゥシェミンスキーが迫害されてから亡くなるまでを描いている…

冒頭は、彼が学生相手に自然に囲まれた山麓で自由で創造的な授業を行っているところから始まる…
その冒頭に見ているワタシまでワクワクして、彼に魅了される…

それが、次第に社会主義の体制に飲み込まれ
美しい光に満ちた世界が 灰色の色の世界に変わってゆく…

そんな中で彼は、魂を売ることはせず、最期まで心だけは、自由であった…

彼の生きた時代や国が異なれば…
なんて 思わず思ってしまった。。。

少し、彼の娘の事が気になったが
あんなにシッカリしていたら
彼女は寂しくても 生きていける気がした…

とても、暗い話ですが…
イイ映画です🎬
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