アンジェイ監督の遺作。とても90歳の老人が作った作品とは思えないエネルギーを感じる。
この監督の作品は数本しか観た事が無いが、2007年の「カティンの森」は良い作品だった。
今作はとにかく重くラストもまったく救いのない終わり方で、現実の厳しさをイヤと言うほど突きつけられる反面、ストゥシェミンスキの不器用な生き方に共感を覚える。
信念を曲げないといえば聞こえは良いのだが、どちらかと言うと嫌な事はやれないと言う幼さを感じ、そこに魅力が見える。それを描けたのは監督の力量だろう。
悲しいストーリーだが後に再評価され、ストゥシェミンスキが教鞭をとったウッチ美術アカデミーがウッチ・ストゥシェミンスキー美術アカデミーと改名されたのを救いとしよう。
ちなみに改名は1988年。ベルリンの壁崩壊の一年前というのが凄い。