まめまめちゃん

タリーと私の秘密の時間のまめまめちゃんのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
3.5
マーロは3人目の子供を出産したばかり。上のふたりの子供たちもまだ手がかかる年頃であり、勧められてナイトシッターを雇うことに。マーロはシッターとして現れたタリーと交流を深めていくと共に、やがて現状と対峙することとなっていく。

クールな眼差しが印象的なシャーリーズ・セロンが、18キロ増量して演じる3人の子育てママ: マーロという女性の中盤までの表情や行動は、命を育て導く義務と責任と、膨大な家事をやっつける使命感というかウンザリ感が混ざった複雑なものだった。
通常周産期の母体には何事もプラス&穏やか思考になるようなホルモンが出て育児の大変さを乗り切るようになってると言われているにも関わらず、3人目の出産直後でさえハッピーな空気が微塵もなかったのに驚いた。ちなみに夫の中途半端なボンクラさ演技も完璧すぎて、それからの展開に期待が膨らんだ。

が、シッターとしてやってきたタリー(マッケンジー・デイビス)の、子供にも母親にも夫にも気配り満載な家事育児っぷりに助けられたマーロは、それまでやれなかったことを実現していくのだった…!の展開に、
一体なんの映画なの?ナイトシッター普及活動?女って大変なんだよって啓蒙活動?子供3人いてもみんなの助けを借りて自己実現?いつ何かが急展開するのか爆発するのかと多少イライラしながら見ていると…そういえばタリーって妖精みたいでなんだか不思議。家の間取りとか台所の使い勝手に始まり、何よりマーロのことが最初からよくわかっていて、スーパーシッター過ぎる…あら、そういうことでしたか…後から考えればわかりそうなもんなのだけど、気づかなかった。夫婦が仲良くキッチンに立つ背中にカメラが寄って終わり。

とりあえず私は全力で脳と心身の劣化と戦う毎日で、何歳になってもいっぱいいっぱいで輝いてたあの頃とか一切ないので別に何の学びにもならない映画ではあったけれど、自らの人生を振り返るきっかけにはなったかな。それと結構私はハッピーな展開がダメなんだなと今更気づいた。それでも息子さんのマッサージをやめるシーンにはちょっとウルッときたよ。

産後にマーロのようになっていたら物凄く深刻だってことをもっと強く伝えられたらよかったのではと思ったな。解離性人格障害というんでしたっけ(注: 本当に知らずに言ってるので誰か訂正してください)?2人目の産後うつは予兆だったかも。お産はこういうことも含めて女性に多大なる負担を強いることこそ啓蒙してほしいな。もしかしてそういう映画だったのかも?