幕のリア

サーミの血の幕のリアのレビュー・感想・評価

サーミの血(2016年製作の映画)
3.3
妹の葬式のため、遠い故郷に息子や孫と向かうことになった老婆。
出自を忌み嫌う彼女。
しきりに耳元に掛かる髪を気にする。
地元民族の言葉も忘れた振り。
頑固な婆さんというより思春期の少女のよう。
そして物語は老婆の少女時代の回想へと。

聡明な少女の成長譚。
差別問題の実態は我々に分かるはずも無い。
因習や家族とのしがらみなど、全てをブレイクスルーすれば新しい地平線が覗けよう。

ペールトーンの美しき映像はスクリーンで観るべきだった。

〜〜

北海道は修学旅行で行ったきり。
最も印象にあるのは、五稜郭でも、時計台でも、路面電車でもなく、昭和新山だった。
ある日突然噴火を繰り返しニョキニョキと標高数百になってしまった火山。
その麓にあったお土産物屋さんでいかにもアイヌと分かる方がそれらしい格好で働いていた。
そして二、三人のアイヌの若者が駐車場にたむろしていて、強い視線でじっとこちらを凝視していたのが忘れられない。
年齢の若い山とそこに留められる人または留まる人。

蓋をされて見過ごされている事象をもっと知りたいと思う。
幕のリア

幕のリア