よねっきー

THE BATMAN-ザ・バットマンーのよねっきーのレビュー・感想・評価

4.6
DCコミックスの「ジョーカー使ってマーティン・スコセッシみたいな映画撮ろうぜ!」なんて思いつきから産まれた映画が大ヒットしたのがもう3年前。今度は「バットマン使ってデヴィッド・フィンチャーみたいな映画撮ろうぜ!」ってとこだろうか。完全にマーベルと別の路線を開拓できたみたいでおれは嬉しいぜ。

とにかく各方面からセンスの良いオタクを集めてきて作ったんだろうなという印象。重低音偏重の音響も、赤と黒のコントラストが耽美的な画面も、ずっと前戯みたいなロバート・パティンソンとゾーイ・クラヴィッツの会話も、何から何まで良かったが流石に2時間50分は長い。わざわざ間延びさせなくても重厚な映画は重厚になると思うので、もっと自信持ってテンポの良い作劇をしてほしかったなと思う。終盤かなりタルかった。エンドロールが流れそうな瞬間が4回くらいあるんだもん。

ポール・ダノには相当期待してたんだけど「知能犯」っていうありがちなキャラ造形のせいもあってか、あまりハネなかった気がする。知能犯顔だし。もっと『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のときくらい狂い倒して欲しかったな。あの映画はダニエル・デイ=ルイスとの掛け合いによって引き立てられてた部分も大いにあったので、ロバート・パティンソンの技量不足か?とも考えましたが、いや彼は『ライトハウス』で最高のカモメ殺しを見せてくれてましたから。2人とももっとできたと思うぜ。観客がドン引きするくらいバチ狂ってるバットマンとリドラーを見たかったんだけど、俺だけ?

ラストの展開も意外性がなくてあんまりなあ。せっかくフィンチャー意識してるんだから『ドラゴン・タトゥーの女』みたいに、もっと急に切ないラブストーリーへ方向転換してくれても良かったんじゃない?もっと全体の尺短かったらこのラストでも良いとは思うけど。

とにかく最高だったのはカーチェイスのシーンですね。音響班と撮影班と編集班の狂気的な三重奏。これこそ映画だよなあ。観るなら絶対IMAXが良いと思う。みんな大好きな「ジェットエンジンの大轟音」を何回もやってくれますから。ありがとう。
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