1914年のオーストリア=ハンガリー帝国皇太子暗殺事件と現代のサラエヴォを結ぶことで、過去の歴史の反省から生まれたEUの理念が崩れ行く欧州の現実を描く。
映画全体として、サラエヴォ事件の経緯やサラエヴォを首都とするボスニア・ヘルツェゴビナの成り立ちはもちろん、旧ユーゴスラビアを構成していた3民族やそれに対する諸大国の関わり方、紛争の流れなど、ユーゴスラヴィアに関わる歴史の知識がベースとなっているので、あまり関心のない人にはたぶんツライ。
当事者であるヨーロッパの人とそれ以外で、だいぶ受け取り方が違う作品だと思う。僕はたまたま大学とかで東欧と関わりがあったので、普通より観やすかった。昨今、旧ユーゴの状況が日本で報道されることはほとんどなくなったけど、この映画を観る限りより暗い方に向かっているようだ。