これは実に繊細に、そして緻密につくられた作品だ。少女たちの悪意をも含む複雑な感情を丁寧に精緻に描いている。監督のユン・ガウンは、「ペパーミント・キャンディー」や「シークレット・サンシャイン」のイ・チャンドン監督が見出した新しい才能というこだが、あらためて韓国映画の底知れぬ実力を見せてくれた。
ユン・ガウン監督はこの作品を自らの経験をもとに撮影したということだが、冒頭とラストのドッジボールのシーンや、劇中に登場する小道具など、実に映画的な手法が凝らされており、その技巧の確かさと映像的視点の強さを感じる。
もちろん、スクールカーストやいじめなど子どもたちの日常を見つめる視線も揺るぎなく、嫉妬や羨望、裏切りなどもかなり印象深く描いている。子どもたちの世界でさえこれだけシリアスに斬り込むユン・ガウン監督、憎悪渦巻く大人の世界を描いたらどんな作品ができるあがるのだろう。今後の活躍が注目される女性監督、韓国映画界のホープであることには間違いない。
