小波norisuke

わたしたちの小波norisukeのレビュー・感想・評価

わたしたち(2016年製作の映画)
4.5
ソンは一人ぼっちで闘っている。誰にも言えない哀しみと。泣きたい気持ちを必死で堪えて闘っている。

大人はなんて無力なのだろう。子どものことを気にかけているつもりでも、子どもを哀しみから救えない。

どこにでもあるようなひそやかないじめ。大人になっても、職場などでよくある。加害者と被害者の関係性は曖昧で、何かの弾みで立場が逆転したりする。無意識のうちに加害者になってしまうこともある。人間ってとてもめんどくさい。そんな人間のめんどくささをとてもリアルに描いている。

いじめられても、できることならば気づかぬふりして、凛としていたい。それでも人から嫌われるのはやっぱりとても辛い。ソンもジアも一人で辛い気持ちに耐えている。とても健気で胸が苦しかった。

手作りのブレスレット
お母さんが作る海苔巻き
ほうせんかの花で染める爪
ファーバーカステルの色鉛筆
象徴的なアイテムを用いて、繊細な心の動きを描写する。そして主人公のまだ幼い弟にさらっと深い言葉を語らせる。そんな技巧が全くわざとらしくなく、とても自然で好きだ。

イ・チャンドンの名前に惹かれて観たかった作品。期待を裏切らず、見逃さずによかったと心から思う。子どもたちがとても魅力的だった。
小波norisuke

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