『パラダイス3部作』で現代人の孤独と欲望を独特の映像世界で描いたオーストリアの鬼才ウルリヒ・ザイドル監督のドキュメンタリー作品🎬
アフリカ・ナミビアを舞台に、野生動物を狩猟するトロフィー・ハンティングに密着し、その実態を映し出す🎥🦒🦓🩸
獲物の毛皮や頭だけを目的に動物を狩猟するレジャー、“トロフィー・ハンティング”は、現在アフリカ諸国の一大観光資源となり、合法的にたくさんの野生動物たちが殺されている…🩸
動物保護の観点から批判を多く浴びてる産業だけど、ハンターたちは悪びれることなくハンティングへの情熱を語り、罪悪感どころかむしろ動物を狩ることが動物たちのためとか、環境保護に貢献してるとか正当化する姿も。
茂みに身を潜め、静かに近寄り、急所を捉え動物たちを仕留める…そして意気揚々とその息絶えた動物と記念撮影を行う…そんなハンティングの醍醐味を一部始終を捉える💥🩸
現地のコーディネーターはいかに上手く仕留めるかアドバイスをし、客がやり遂げればそれを賞賛し、地面に寝転ぶようにカメラを構えて、客の満足感を最大限に得られるような映える写真撮影に力を入れる📸
ザイドル監督のドキュメンタリー作品を観るのは今回が初だけど、パラダイス3部作や過去作と同様、セリフや説明的な部分はなく、決して多くを語ることはないが、登場人物たちの姿に目を背けることなく、あるがままに淡々と捉える描写に冷ややかさを感じる独特な空気感がやはり凄い。
そして相変わらず画作りが圧倒的にかっこいい…
現地の家屋や自然をバッグ映し出す人々の姿、ハンティングをするお客たち、夥しい数の頭だけになった動物たちの剥製。
残酷な現実を映し出すドキュメンタリーの中に、非常アート性の高い画面が立ち並ぶ。
なんとも言えない気持ちを煽られるけど、やっぱりこの監督の映像作りには惚れ惚れしてしまう…
そんなことも言ってられないくらい、後半の動物たちの解体シーンはショッキングで言葉を失う…
それまで躍動的に生きていたきりんやシマウマが静かに横たえる姿にも苦しくなったが、綺麗に淡々と解体され、皮を剥がされた姿は耐え難い…
それを淡々と作業的にこなし、その肉を食糧としていただく現地人たちの姿も。
かなり生々しくて残酷な描写をこちらも目を逸らすことなく一部始終を捉えているので、閲覧注意ですね、これは⚠️
産業の中で日々繰り返される一連の行為に、命に対する敬意が消失していることが何より怖いドキュメンタリーだった。