ゲット・アウト (字幕版)
エンタメホラーと現代批評を見事に両立させた傑作。
いやー、凄い。
これは、何の情報も入れずに観た方が良いです。
予告編も素晴らしかったが、あれは一種フェイクになってる。
ということで、これ以降は何を書いてもネタバレになる気がするんで、未見の方は読まないでください。
---以下、ネタバレかも---
途中まで観て、こういう話になるのでは…という予測を少し裏切ってきました。
過激なことは起きないんです。ドンパチもほとんど無い。具体的な暴力シーンやグロテスクなキャラも衝撃的な映像も出てこない。
でも、怖いんですわ。
ずっと怖い。
何が起きてもおかしくない感じ。
オープニングで、なかなかショッキングなシーンがあるんですが、それが引き金になって、ずっと銃を突きつけられている感じ。
まさしく、映画の中の彼と同じように針のむしろになる。
違和感に違和感が重なり、人間不信になっていく。
違和感が極まったところに、あの展開ですよ。
黒人の方と白人の方のカップルで観に行ったら完全に気まずいムービーですが、そのどちらでもない僕らはスカッとする面もあるラスト。
でも、少し考えて、改めてゾッとする。
作中で語られる尤もらしい主張は根本から間違っている。
彼らの思想、彼らの行動の何1つ認められることなどない。
でも、理解できてしまう。
老いさらばえた彼らが、若く肉体的にも優れた黒人の若者に憧れることに。
その理解できてしまうところにこそ、根深い差別意識があるのかもしれない。