岩嵜修平

ゲット・アウトの岩嵜修平のレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.8
ゲット・アウト (字幕版)

エンタメホラーと現代批評を見事に両立させた傑作。

いやー、凄い。
これは、何の情報も入れずに観た方が良いです。

予告編も素晴らしかったが、あれは一種フェイクになってる。

ということで、これ以降は何を書いてもネタバレになる気がするんで、未見の方は読まないでください。

---以下、ネタバレかも---








途中まで観て、こういう話になるのでは…という予測を少し裏切ってきました。

過激なことは起きないんです。ドンパチもほとんど無い。具体的な暴力シーンやグロテスクなキャラも衝撃的な映像も出てこない。

でも、怖いんですわ。
ずっと怖い。
何が起きてもおかしくない感じ。
オープニングで、なかなかショッキングなシーンがあるんですが、それが引き金になって、ずっと銃を突きつけられている感じ。

まさしく、映画の中の彼と同じように針のむしろになる。

違和感に違和感が重なり、人間不信になっていく。

違和感が極まったところに、あの展開ですよ。

黒人の方と白人の方のカップルで観に行ったら完全に気まずいムービーですが、そのどちらでもない僕らはスカッとする面もあるラスト。

でも、少し考えて、改めてゾッとする。

作中で語られる尤もらしい主張は根本から間違っている。
彼らの思想、彼らの行動の何1つ認められることなどない。
でも、理解できてしまう。
老いさらばえた彼らが、若く肉体的にも優れた黒人の若者に憧れることに。

その理解できてしまうところにこそ、根深い差別意識があるのかもしれない。
岩嵜修平

岩嵜修平