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デヴィッド・リンチ:アートライフのgengengのレビュー・感想・評価

3.0
ものづくりおじさんが愉しそうに作品を作っているのを見る映画。タバコをフィルターギリギリまでうまそうに吸い、眉間に皺を寄せて作品に向き合う姿からは、クリエイティブまみれで生きてきた人間の風格が滲み出ている。

映画はリンチ自らが過去を振り返りながら進む。この考えながら喋る口調がな〜んとも眠気を誘う。心地よい間、ゆったりとしたスピード感。そこに抽象的な絵画、アンビエントな音楽が加わり、抵抗する間もなく落ちる。

極め付けは恐らく口癖であろう「アェ〜ン…ツッ(And)」の頻出具合。接続詞は何でもかんでもAndで繋げるリンチ。RPGやっててフィールド歩いているとそろそろ敵とエンカウントしそう、と何故かピンと来る瞬間っていうのがありまして。そういう第六感がAndに働く。そろそろ来るぞ…って思ってると、And来る。

他の兄弟には塗り絵を買って与えたが、リンチには絶対に買わなかった。という母親の教育方針が素晴らしい。そこまで考えてくれる親がいる時点で尖ってる。

絵画だけでなく、ある時は泥水みたいなの使ってみたり、またある時は粘土で立体作ってみたりと表現の枠に囚われていない自由奔放さが、キラッキラで良い。
『イレイザーヘッド』は興行収入に悩まされず、やりたいようにたっぷり時間をかけて作れたから今でもサイコーだったと思ってる(意訳)と言ってたのが印象的。
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