このレビューはネタバレを含みます
冒頭から声にならない叫び声を上げるレベルで良い！！強盗の前準備をするところからタイトルバックまでのシークエンスは、死因：良すぎによる心肺停止 になるかと思いました。絵画、かっこよすぎる〜盗みて〜
その勢いが最後まで続くかと思いきや、中盤以降、まさかの失速！！！非情なほどに現実とは現実的である。この現実的すぎる現実感のある展開はクライムムービーの「ドミノ倒し的カタルシス」を皮肉っているようでもあって、現実とはうまくいかねえものだな！っつーことをまざまざと思い知らされたワケでありました。
という意味で言えば、この失速はもはや魅力。たかだかその辺のイキった大学生が映画の知識だけで完全犯罪なんて、不可能なんだよ。そういう啓蒙。そんなオチありかよ！？と言いたくなるようなクライムムービーだとしても、その前にこの映画は「事実」であるのでしょうがない。逆にこんな展開が許されるのは「事実」だからでしかない。全く格好つかずに堕ちていく。
本人が登場するメタ構造もよい。役者と本人が会話したり、本人たちの記憶が曖昧なことで起こる映画内の不整合描写とか、テンション爆鬼アゲ展開。事実をベースにした映画ではなく事実の映画で、かといってドキュメンタリーでもモキュメンタリーでもない。なにこれ変なの！！！
