回想シーンでご飯3杯いける

ロニートとエスティ 彼女たちの選択の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.5
イギリスの厳格なユダヤ・コミュニティで生まれ育った2人の女性、ロニートとエスティ。ロニートはユダヤ教指導者の父を捨ててアメリカに渡ったものの、その父の死をきっかけに帰郷。一方のエスティは信仰心の強いドヴィッドと結婚していたが、かつて何らかの関係があったらしいロニートと再会した事で、かつての感情が再び溢れ出す。

いわゆる同性愛を題材にした作品なのだが、舞台になっているのがユダヤ教のコミニティである事が大きな特徴。つまり、ロニートとエスティには、同性愛と不倫という2つの大罪を犯している事になる。

信仰心の強いドヴィッドにとって、妻による2つの裏切りは相当辛い物であった事が分かるし、特に宗教に興味が無い私のような人間からすると、えらく神経質に見えてしまうけど、彼の立場で考えれば、確かに気の毒な部分もある。こうして、日本では想像し難い状況を味わえるのも海外の映画の魅力のひとつだと思う。

LGBTQ映画でいつも気になってしまうのは、登場人物が極端に美形である場合が多い事。今作のレイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムスも、地味目の雰囲気にはなっているものの、おかけで素の美しさが更に際立っている気がしないでもない。LGBTQの当事者が必ずしも美形とは限らないわけで、この描き方だけで、問題の本質を分かったような気になるのは少し危険な事のように思えて、いつも複雑な気持ちになる。