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ロニートとエスティ 彼女たちの選択のSY3KRのレビュー・感想・評価

4.0
『ナチュラル・ウーマン』でも同性愛者が大変な差別を受けていた時代を痛烈に描いたセバスチャン・レリオ監督が、本作では宗教と同性愛の関係性に焦点を当てた。2018年で言えば、『ある少年の告白』でもほぼ同じような題材が取り上げられている。

そちらを鑑賞した際も感じたことだが、宗教を信仰することに何ら罪はない。しかし何故か彼らは、「信仰しない自由」を認めようとはしない。宗教を信仰する自由も、信仰しない自由も、他者を性別に関係なく愛する自由も、その全てが同じように保証されるべきではないのか。

ロニートが村八分になりコミュニティから半ば追放も同然の扱いを受けている点や、父親が娘に対して施した酷い仕打ちなど、見ていて非常にフラストレーションが溜まる。「自分たちの信じるもの以外は信じない」視野の狭さは、世界中で起きている宗教戦争の根本原因としか思えない。

しかし、そんな鬱憤をかき消すかのように、エスティの夫であるドヴィットが終盤に大いなる決断を下す。本作は、彼が心情を吐露する1分のシーンに全てを託している。私は本作の結末が、決して不幸なものだとは思わない。結果がどうあれ、彼らは解き放たれることになったからだ。

ワンシーンで全てを感慨に変えてしまう監督の大胆さ、そこに至るまでの地味な展開をひたすらパフォーマンスで見せ切った2人のレイチェルに拍手を送りたい。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:84%
・観客支持率 :75%
「本作はレイチェル・ワイズ、レイチェル・マクアダムス、アレッサンドロ・二ヴォラの魅力的な演技に支えられながら、さまざまな示唆に富んだテーマを探求している。」
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