J四郎

ドラゴン×マッハ!のJ四郎のレビュー・感想・評価

ドラゴン×マッハ!(2015年製作の映画)
4.0
トニー・ジャー、ウー・ジンらが出演するムエタイ&カンフー映画。
アホみたいな邦題がついているが実は「SPL /狼よ静かに死ね」の続編だった!
前作の登場人物が一部出るけど、ほぼ繋がりは無いが。
マッハ!やザ・レイドみたいなもんか?と知らずに借りたけど、これは驚いた。アクションが売りなのはもちろん、ストーリーにも重点を置いた作品になっております。

トニー・ジャーが出てる作品くらいの認識しか無く、タイトルからしてアホでトンデモなカンフー映画ちゃう?くらいにしか思って無かった。
カンフーとムエタイが競演すっから、ドラゴンとマッハ!でいいんぢゃね?くらいに適当に付けたとしか思えない邦題ですからねぇ。知らんけど。

しかし、この映画はいきなりハードな展開を見せる。
臓器売買組織の超外道なお仕事っぷりからはじまり、トニー・ジャー演じるお父ちゃんは白血病の娘を抱えて苦悩している。
ウー・ジンの潜入捜査官はヤク漬けに四苦八苦している・・・。
と、当初のイメージからかけ離れた重く本格的なお話。

監督が言ってたけど、”宿命”を背負った人物たちの話なのです。
確かにそれぞれシビアな状況に置かれた人々が熱いドラマを見せてくれる。
特に存在感があるのが組織のボスで、この人は心臓にハンデがあるためアクションはしないが役者の力量もあってか、主役ら以上のインパクト。

ストーリーは前半は実に見応えがある群像劇だった。
でも、途中から何だか中途半端な感じに見えてきて締め方が上手くない印象。
え?なんでそうなんねん?と突っ込み入れる所が多かったし、最後もどういう経緯を経てあのコが助かったのかハッキリ描かれないままだった。
あの設定なら普通、間に合わなかったんでは?
破綻してるとまでは言えんが、神経の細かい人向きじゃありません。
「考えるな、感じろ」ってタイプかもな!

アクションは期待通りに素晴らしかった。
それぞれ工夫されたバリエーション豊かなアクションで飽きません。
でもウリにしていた囚人入り乱れての長回し乱闘は、思ったより普通かな?
それより何より凄かったのがクライマックスのカンフーアクション!
ここ数年のカンフーアクションでは屈指の凄まじさ。
ラスボス、マックス・チャンのカンフーがメッチャ素晴らしい上、一番のイケメンなので、主役2人を完全に食ってしまっておる。
とんでもない高速アクションをしてるけど、カットや見せ方が上手いので見やすいのもグッド。

ストーリーは賛否が分かれる、どころか否の方が多そうな印象やな。
伏線の張り方とかけっこう細かいのに残念な部分多め。
もうちょい上手く調理してくれりゃあ、歴史に残る作品になったかもしれんのに。
ただ、アクションは見応えあります。特にラスボス戦を観るだけでも損はありません。
J四郎

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