岩嵜修平

先生! 、、、好きになってもいいですか?の岩嵜修平のレビュー・感想・評価

3.4
先生! 、、、好きになってもいいですか?

過去最高に美しい広瀬すずと岡田麿里の限界

大前提として三木孝浩監督作品が、かなり好きです。『ソラニン』は大好きな原作の映画化という高いハードルを更に超えてきたし、『陽だまりの彼女』なんて公開年のベスト3に入るくらいハマって、ついこの間の映画祭での再上映に足を運んで山下達郎PV観たさにDVD-BOXまで買ったし、昨年公開の『僕は明日、昨日のきみとデートする』も2回観た。

その間の3作品は全然ハマれなかったけど、見事な光の使い方と、美少女を過去最高に美しく撮るカメラアングルと音楽遣いの巧みさは、どの作品でも健在でした。(ガッキーはテレビの方が良いかもだけど)

今作も映像は素晴らしい。
大好きなシーンが沢山あります。
広瀬すずも、過去作品で最も美しい広瀬すずとブサイクな広瀬すずが観られる。三木さんの画づくりのセンスは疑う余地もありません。

ただ、今回の誤算は脚本でしょう。
「あの花」も「ここさけ」も好きな作品です。TVアニメ版「あの花」が好きでガリレオガリレイにハマってた時期もあったし、「ここさけ」でのラスト近くの陰陽2つの歌を重ねるという手法にも感動したし、如何にも青春アニメっぽい台詞にヒいたところもありましたが、最終的には、どの作品も感動してました。

だからこそ実写版「あの花」も実写版「ここさけ」もなぜ、岡田麿里に脚本をやらせなかったのだ…!と憤ってました。どちらも実写版は観るに耐えないものだった。

でも、今なら言えます。
実写、実写脚本のプロに任せた方が良い。

本作は、もうオープニングから主要3名の台詞が気持ち悪いやら恥ずかしいやら。特に森川葵の役は、観てられない。マンガを、そのまんまやってる感じというか。こんな奴、いないだろ感が凄い。(ちなみに森川葵自体は大好きな女優さんで「いつ恋」でも「プリンセスメゾン」でも素晴らしかった)

ついでに言うと、最近、脇役でよく見かける竜星涼は実年齢22歳だそうで、そもそも高校生として見ろというのが無茶だろうと。
広瀬すずでギリギリなのに、森川葵と竜星涼をキャスティングしようとした理由が本当に謎。(事務所の推しなのかな…)
振り返ってみると『アオハライド』でも『青空エール』でも実年齢無視したキャスティングしまくってるんで、そこら辺、受け身で言われるがままの監督なのかもしれません。

竜星涼の台詞も頭を抱えたり、顔をしかめたりしてしまうものばかりで、恐らく、『あの花』のぽっぽや、『ここさけ』の田崎みたいなキャラを実写化しようとしたんだろうと思うのだけれど、リアルな人間があんな青臭いことを話したらひきますわ、それは。

健太郎の役も、おまけ感が強くて、人柄が描かれてない。

とまぁ、色々と文句を付けてきましたが、一番ゾッとしたのが、やはり生田斗真と広瀬すずの恋愛ってとこなんですよ。
広瀬すずは本格的には初のラブストーリーらしいですが、まだ早い気がする。『四月は君の嘘』や『ちはやふる』がギリギリ。
適性は『海街diary』だと思う。
そこから、あんま顔つきも変わってないし。
主演を張れる女優さんも邦画界では少ないから、限られた選択肢の中で、そろそろ広瀬すずに…!と判断したのかもしれないですが『怒り』や『三度目の殺人』で観客がショックを受けたのは、純度の高いキャラだからじゃないですか。

しかも相手が生田斗真(33)って。
誰が、こんなカップリングのラブストーリーに共感するんですか。

応援したい気持ちなんて微塵も起こらなくて、ただただ、殴ってでも生田斗真を止めたい気持ちになりますよ。

当然、そこら辺の違和感も踏まえての組み合わせなのだろうけど、驚きよりも気持ち悪さが勝りました。

ファンだからじゃないですが、三木孝浩監督は職人として間違いない仕事をしたと思います。
あとは、脚本やキャスティングの問題。

岡田麿里脚本は実写だとキツいし、広瀬すずはまだラブストーリーには早いし、高校生役っぽい高校生を使って頂きたいと。

三木孝浩監督の次回作『坂道のアポロン』は『ソラニン』などと同じく高橋泉さん脚本なので、今度こそは楽しみ!
岩嵜修平

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