ガンビー教授

呪われし家に咲く一輪の花のガンビー教授のレビュー・感想・評価

呪われし家に咲く一輪の花(2016年製作の映画)
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素晴らしい。素晴らしいですよ。これを作った人たちは「撮りかた」というものをめちゃくちゃよく分かっています。主にはフィックスで、ただ映す、という手法がどれだけ恐怖をかき立てるか。それを把握している。

「ただ映す」と言っても、画面に映るものは実際のところ丁寧に制御されていて、しかるべき部分にきちんと手心が加えられているんだけど、一見、普通に撮影してるだけに見える、という絶妙なライン。これを維持するのがうまいので、会話シーンでの何の変哲もない切り返しショットさえ強度が宿っています。

映像の作為が、基本的にはある範疇を越えない。だからこそふっと映像に力がこもる瞬間にどきっとします。文章で出来事だけ書き出せばかなり密度の低いものになってしまうと思うのですが、この作品においては、映画にしか描けない恐怖文法というものがきちんと確立されています。

映像表現として圧倒的に不純物が少ないですね。とにかく、こういう「撮りかた」を分かっている人の手による作品が見れて嬉しいです。

ところでパソコンで映画を見るときいつも、画面の明度調整というのがこちらに委ねられていることにいくばくかの違和感があったのですが、本作はとにかく「部屋の電気を消し、画面は暗めにして見ろ」って感じですね。
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