たいてぃー

光のたいてぃーのレビュー・感想・評価

(2017年製作の映画)
4.0
音声ガイドの仕事って、難しい。
モニターを集めての試写で「押し付けがましい」「逃げている」と、きつく批判される。このガイドが、夜の街を一人歩きながら「苦しい」って呟く。バックのぼやけたライトが、それを増長している。
この音声ガイド美佐子役に水崎綾女。目ぢから満載の美女。ガイドを批判する弱視のカメラマン雅哉役に永瀬正敏。前作の「あん」でも河瀬監督とタッグを組んでいる、最強コンビ。
本作、ヒューマンな面もあるが、ポスターにもある「珠玉のラブストーリー」で間違いないと思う。この二人の出会い、特に雅哉のアパートでのシーンがいい。美佐子が塩の容器にシールをはる、プリズムをぶら下げる。雅哉が焼きそばを作る、目の見え具合を語る。二人の感情が接近する朗らかなシーン。その前の公園での子供と戯れるシーンもいいし、後半の思い出の地でのキスシーンも素晴らしい。これに対するのが、藤竜也演じる映画監督の作品に出てくる、夫婦。藤竜也は、主演も演じている。死を絡めていて、暗さ満載だが、二人の愛情が強く感じられる。
でも、この映画の中の映画の詳細は語られていない。美佐子が音声ガイドを担当しているため、そのようにしているのか。それとも前作の「あん」が結構ストレートな内容だったため、本作では芸術性を加味したのか。この妻役に、神野三鈴。美佐子の上司の二役をこなしている。重要な役を名演技。どっかでみたと思ったら、カロリーメートのCMに出ていた。舞台中心のようだが、もっと映画にも出てほしい。
ところでネットで見たのだが、藤竜也が舞台挨拶でこの作品中の映画「砂の行方」を映画として編集されて、併映される予定との発言があった。是非観たいものだが、だから本作の中では「砂の行方」が、はっきりしない内容だったのかって疑問が。この辺りも是非、確かめたい。