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人狼ゲーム ラヴァーズのJIZEのレビュー・感想・評価

人狼ゲーム ラヴァーズ(2016年製作の映画)
3.3
何者かの策略で見知らぬ施設へ拉致された高校生たちが命懸けのデスゲームへ身を投じていく有志に迫った人狼シリーズの第5弾‼運営側の黒い背景(サイド性)を賞賛‼開幕で誰も居ない舞台の空間が終幕で再びある人物の視点とオーバーラップする仕掛けはこの種の低予算Jホラー映画の部類で特質し唸った。まず前作のシリーズ第4弾『人狼ゲーム プリズン・ブレイク(2016年)』に続き再び3度目のメガホンを続投した今日本で一番注目してる綾部監督にありがとう!と感謝の意を伝えたい。所謂,(作品を要約)日常(命)を投げ捨て適当に生きてきた蒼き若者たちが突然,不条理な空間へ身を置かれた事で生身の"生を肯定"し出す人間ドラマの描き込みが毎回エモーショナルでアツい。では結論から言いましょう。過去作の美点を踏襲しつつ確実に新たな目線で切り込むブラッシュアップされた最新作,だった。主人公の立場がああいう目線で一貫されてる事もシリーズ第2弾『人狼ゲーム ビーストサイド(2014年)』に通づるだろう。つまり"人狼サイドの物語"です。また今回の新要素である"キューピッド"や"恋人"という駆け引きの明暗を左右する重要な役職に加え頭脳戦(あるいは心理戦)が過去最高の難易度で繰り広げられていたように思う。ねたばれを避けた状態で話せば主に駆け引き(ゲーム)が複雑化する二重三重の思惑(極限状態)を人狼ゲームの核心に接続させ上手く表現できていたと思います。今回は全員経験者(第2戦目),第三勢力(運営側),またはその先(ゲーム終了後)…など毎回シリーズを追う毎に世界観が少しづつ拡張する視点の豊かさも変化をもたらし作品の好きな長所である。

→総評(生け贄に差し出された役職を抱える市民)。
やはり第三勢力(運営側)の人間がゲームへ絡んでいるため切り口の柔軟さは今回かなり美点だったように感じました。また邦題の"ラヴァーズ"が示す通り"恋情"が各場面で駆け引きを加速させ面白くさせていたように思えた。そして終盤,ある重大な場面でヒロイン古畑星夏演じる高野蘭子が真顔で運営側のTVモニターに向かい「そっちに行かせてください…お願いします。此処ではない…そこは何処ですか?…」と運命を悟り静かに呟く。今迄の過去シリーズではヒロインが運営(モニター画面)に叫び終幕する一連の流れがお約束であったが今回はやや変則的な描かれ方がなされフェイントの掛け方としては実際アリだと感じました。ねたばれ回避のため内容はほぼ触れてませんがシリーズを毎回観てる者ほど今回は尚更楽しめる造りで綾部(監督)印が厚く刻印されたシリーズの最深部に迫る第5弾という感じでしょうか。恐らく次回以降も今回まで(主にPart3,4,5)の流れを引き継ぐと同時に最終章という形になると思います。年内で第6弾製作にも期待!このシリーズに関してはナゼか毎回レビューが通常よりアツめの仕様になってますが今回の第5弾も是非お勧めします‼!
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