映画を見る猫

gifted/ギフテッドの映画を見る猫のレビュー・感想・評価

gifted/ギフテッド(2017年製作の映画)
3.1
『500(日)のサマー』が好きで、贔屓にしていたウェブ監督。
前評判も良く、期待値が大きすぎたためか、本作は久々に映画館で嘆息が漏れる作品となった。
はっきり言って主人公、あまり好きになれない。
彼がメアリーを思う気持ちに、本当にエゴはないのか?
大学の准教授になるほどの経歴を持っているなら、なぜ裁判になる前に、経済水準を少しだけ上げて、実の母親と示談し、メアリーと共に暮らせる方法を必死に模索しないのか。全くもって理解できない。
更に裁判という大事な時期に、酒を飲むため子どもをご近所さんに預け、子供の学校の先生を自宅に連れ込み、一夜を過ごし、早朝子どもに現場を目撃され、挙げ句逆ギレ。
映画を見ながら、はっきり言ってこの男女両方共にぶちギレそうになった。
いくら彼がメアリーを大切に思っていると言っても、この状況や行動は、本当にそれを証明しているのか、甚だ疑問である。 
更に言えば、彼と対比されている祖母のキャラクターはあまりにステレオタイプ的ではないか?
彼女があまりに強烈で、主人公のメアリーに対する愛情が美化されてるように思われてならない。
赤子の頃から共に暮らしてきた唯一の肉親。早熟でありながらも、まだ七歳のメアリーが彼にすがり、愛情を求めるのは、当然のことだろう。
亡き姉でもメアリーでもなく、主人公こそが、誰よりもメアリーと過ごす普通の生活に拘っているように思えてならなかった。
第一に普通の生活というのは、自分の持っている力を無理やりにひた隠しにし、周りに同調することでは決してないだろう。
それをラストシーンまで解っていなかった主人公の姿に苛立ちが止まらなかった。
正直、ほぼ好評が決まってしまうような題材(子供、天才児、家族愛etc.)だからこそ、辛い意見になってしまったというのもある。
が、演出においてもハイセンスな監督のMV 的なテンポの良さが活かされるシーンは1つもなく、落胆の色が隠せない。
普通に、ただのいい映画ではある。
監督を過大評価し過ぎていたのかもしれないと逆に反省した。