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アウトレイジ 最終章のdojiのネタバレレビュー・内容・結末

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

最初のカットからはっとさせられる静寂は、過去の北野映画にあったような凛とした空気そのもので、本作は3作目だからこその、そして最終章と名付けられたおそらく最初で最後の北野映画だからこその魅力にあふれた作品だとおもう。

とにかくこのシリーズの登場人物は相変わらず権力争いに命をかけ、体裁を取り繕うことに汗をかき、裏をかかれては殺されていく。そのうんざりするような彼らの性を観客は楽しく見ることができるのだけれど、やはり冒頭から大友という男の哀愁ばかりが気になってしまう。

登場人物の口から直接的に表現されるように、とにかく昔気質の大友は、筋を通すことや義理や恩情というものをあくまで最重要視する。やられたものはやり返すし、裏切りに関しては死をもって制裁を下す。その姿はエンターテイメント的な痛快さがあるけれど、本作はどこかそれはもう忘れ去られ、だれの気にもとまらないような時代おくれのことであるような、そんな印象すら受ける描かれ方している。

大友はとにかくじぶんだけの行動原理で動いていくし、周りもそれを利用するだけ利用する。愚かなものは死んでいき、賢く立ち回ったものはしぶとく生き残る。すべての悪に決着がつくことはなく、大友は殺す理由だけを全うしたあと、あっけなく自らこの世界から退場してしまう。その姿は、どこが諦観的なようにもとれるけれど、その潔さと自らの血の海で倒れるほんの一瞬のラストカットは、しばらくあたまから離れないほどの美しさがあった。
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