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クローバーフィールド・パラドックスのrollinのレビュー・感想・評価

3.9
JJの奇妙な冒険。

今んとこクローバーフィールドシリーズは全部はまってる。
最早“クローバーフィールド”の定義は座標と化していて、今作ではクローバーフィールド宇宙ステーションでの粒子加速実験によって引き起こされた並行世界への干渉が、ステーション内に様々な怪奇現象を引き起こしていく。

まず映画全体のテンションの高さが良い。ステーション内外のデザインも程良いアナクロさがあって、ダン・オバノン直系の電子モニターのフォントとかディテールへの拘りも抜群。ミミズファーム、磁石パテ(シンビオートみたいに変化するの好き)といった新鮮なアイデアを打ち出す姿勢、こういう誠意ある作品は応援したくなる。

ダニエル・ブリュールとチャン・ツィーがカップルというのも面白いし、写真のチャン・ツィーに注目してしまうという観客の心理を利用したパラドックス演出も巧い。エリザベス・デビッキは既視感バリバリのマイケル・ファスベンダーっぷりやし、まさかのエイリアン4オマージュにはテンション上がった。あまりにマイペースなクルー達も逆に頼もしい笑

パラドックスによって引き起こされる怪奇現象も、ここへ来てかなりアナログな仕上がりで大変好感。アイデアも飛呂彦先生の『岸辺露伴は動かない』シリーズに収録されそうな奇妙なネタばかりで大好物。中でも無重力に於ける気圧と水圧の関係を見事に映像化したシーンだけでも本作を観る価値はあるし、無重力演出は雑だった『ライフ』のそれを凌駕してると思う。

取ってつけたような地上パートはテンポ悪いなぁと思ってたけど、そこに最大のパラドックスが用意されているのもベタやけど良いね。てかラスト頭悪すぎて最高。なるほど、そういうことね。


結構絶賛してもたけど、絶対に越えられない“名作”という壁を、やっぱり越えてこないのもクローバーフィールドの良いところ。シリーズにはまだまだ期待が持てる!!
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