いずみたつや

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?のいずみたつやのレビュー・感想・評価

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原作のTV映画(後に劇場公開もされました)からの改変がことごとくスベっている印象です。

最大のミスは設定を小学生から中学生に変えてしまった点で、これによって原作の瑞々しさは一気に失われてしまったように感じます。子供たちだけで遠出するということのワクワク感、ドキドキ感、またはアドベンチャー感の大きさは小学生と中学生では天と地の差です。

さらに、原作にはなかったSF要素も足されているわけですが、これも取って付けたような薄っぺらいもので、『君の名は。』または『時をかける少女』(2006)の二番煎じ感が否めません。

『モテキ』でジャンプカットのオマージュ(というかパロディ)があったので、恐らく大根監督は原作のファンなんでしょうが、本作には合ってなかったのではないでしょうか。

中学生への引き上げも自身が得意とするエロ要素をちょい足しするためだけの改変だったんではないかと穿った見方さえしてしまいます。

で、その結果どうなったかというと、原作ファンにはコレジャナイ感が残るし、アニメファンは陳腐なセカイ系SFを見せられて怒るし、それ以外の人から見れば「君の名は。っぽくね」「ワケわかんなーい」(実際に劇場で耳にしました)という誰も得しない地獄に陥ってしまったというところではないでしょうか。

唯一、広瀬すずの「瑠璃色の地球」はとりあえず他のことを抜きにして良かったです。