ももい

ぼくの名前はズッキーニのももいのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭の展開がすごい。
ズッキーニの置かれている状況、なぜ施設に行くことになったのかが重く、クレイアニメだからこそ見れた内容でもあった。あまり可愛いとは言えないクレイ人形だなと正直思っていたが、映画との雰囲気にばっちりとあっていて、観終わる頃には最初の印象とは違うものになっていた。

自分を捨てた父親をヒーローに見立てて凧に描き、虐待をしていた母親が飲んだビールの空き缶を形見として大切にしているズッキーニ。母親がつけた"ズッキーニ"というあだ名は嘲りであるにもかかわらず、頑なにズッキーニと呼ばれる事をのぞむのは、母親から与えられた数少ないものだからなのだろう。あんな親でも子どもにとっては唯一の親である事をまざまざと見せられた。
(窃盗をした親を逮捕された子が警察官にささやかに復讐する描写もしかり)


子ども達一人一人の行動の理由がその子の背景(親との繋がり)を思い起こさせ、丁寧に描かれていたのも印象的であった。


ラストではズッキーニとカミーユが里子に貰われていき、安堵の気持ちと共に送り出す側である子どもたちの心中を思うとこみ上げてくるものがあった。

子どもたちを取り囲む施設の大人がみんな慈愛に溢れていてよかった。

生まれてくる赤ん坊に喜ぶとともに、その母親に投げかける言葉がとても重い。子ども(自分)に非があるから捨てられたのではない、どんな子でも無条件に愛されていいのだとあの子達の心に刻まれて欲しいと切に願う。
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