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アナベル 死霊人形の誕生のアキのレビュー・感想・評価

アナベル 死霊人形の誕生(2017年製作の映画)
2.4
「アナベル」でもっとも恐ろしかったのはやはり夜陰の中、座椅子にこしかける紅をほどこしたお人形さん。以外は、いつものオトで脅かそうとするアレな感じで、あれこれスタッフ一同頑張ってるのは分かるが、その根本的なところが子供だましであるから何一つ怖くない。もはやホラーはアイデア尽きた飽和状態(「残穢」と「ドントブリーズ」は別格)にあるのだと思う。

もっともオトでビックン跳ねた回数が3回を超えたことをもって質のよいホラーと呼ぶなら”怖い”ということになるんだろうけど、例えば夜2時過ぎの安治川トンネルを歩行中、突然後ろから友人に肩をポンと叩かれたら、そりゃ誰だって驚きやしないか?その驚きとこの「アナベル」に起因する驚きとでいったい何が違うというのだろうか。当然両事例ともホラーではない。言ってみれば単なるタチの悪いイタズラである。昨今のホラーはこのイタズラが跋扈し過ぎている。そこにホラー衰微の危機感を覚えてしまうのはきっと僕だけではなかろう。

話の展開も実に無理があるのも引っかかる。
致命的なものを挙げれば、家出りゃすむ話なのに、シスターは娘たちの懇願に「家を出たとて私たちにどこ行くアテがあるの?」とガンとしてはねつける。そりゃ映画進行においてその”家”が必要ならざるポジションにあることは理解するが、命の危険が目前に迫っているわけで、プロであるならばもうちょい巧い理由付けをほどこしてもらいたいものである。子どもたちも子どもたちでシスターの剣幕にその場ではシュンとはなるも、次のシーンでは呑気に白い歯見せて茶摘みをするなど全くもって危機感の欠片も感じられない。まっことふっといハァトを持ち合わせた娘たちである。

丁寧に作られた作品だとは思う、
だけど基本オトで人の臓物を跳ねさせてやろうという安易な甘えがある限り、良い作品には昇華しえないだろうね。だってオトで脅かすくらいなら素人の僕でもできちゃうよ。高い金を払ってんだからオトに頼らずプロの技でもって心筋を脅かしてほしい(人形の造形は前作含め恐ろしかった)
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