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クルエラの821のレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
4.5
敬愛して止まないエマ・ストーンがディズニーの名高いヴィラン、クルエラの前日譚のキャスティング交渉に入ったと聞いた数年前から、公開を本当に心待ちにしていました。バナナをほっぺたにつけてリンゴを丸齧りしながらロンドンの街を颯爽と駆け抜けるエマの様子がSNSに上がって来た時も、どんな作品になってエマがどんな表情を見せてくれるんだろうって、ワクワクが全く止まりませんでした。

Disney+で課金すれば割安で見れるのは分かっていたのですが、こんな推し映画は映画館で観るしか選択肢がなかったので、満を持しての鑑賞。もう最高でした。スタイリッシュで規格外で煌びやかなファッションの数々 (メットガラを見ているよう)。軽快な70年代のUKロックには心が躍らされた。家族を失ったトリオの絆物語もしっかり含まれていれば、演じるのが楽しそうな悪役、バロネスの存在。そして「クルエラ」「エステラ」の顔をグラデーション的に演じ分けるエマの演技!最初から最後まで見所満点で、大満足。本当に最高の一本でした。
“Posh”なイギリス英語をひたすら聞ける2時間のだったのも、至福だった…。エマのイギリス英語…『女王陛下のお気に入り』とは打って変わって今回はよりコテコテだったので、大変聞き応えがありました。

ファッションについては、バロネスもクルエラも一着一着じっくり眺めていたいのに、次々にシーンが変わるから「ああ、追いつかない…」と思いながらの鑑賞でした。
事前の写真で小脇にチワワを抱えてヒョウ柄のシャツに身を包んでいたり、スカーフにサングラスのスーツ姿でバスから降りているショットとか見かけてたのですが、劇中でほんと一瞬で笑った。

2人とも独自のファッションラインを立ち上げる訳で、その「ユニークさ」「すごさ」を文字通り表現しなくてはいけなかった衣装デザインチーム、本当にすごすぎる。調べたらマッドマックスFRでアカデミー賞受賞してた方が担当してたんですね。本作で出てきたドレスから何から何まで、一点一点じっくり愛でさせて欲しいです。

現代のディズニー作品なので、あの60年代に描いていたクルエラの「残忍さ」は和らぎ、ここから仔犬を誘拐し皮を剥いでコートを作る人物になるようには思えませんでしたが、それでもエステラの中に潜んでいた「クルエラ」の狂気が徐々に顔を見せ、その「悪の顔」はどこまで本気なの?と思わせる心の機敏が見事でした。個人的には、あのボンネットの長い、ヴィランになったクルエラを象徴するあの車が登場したシーンにめちゃくちゃ心躍った。アニメでも、あの車をゆっく〜り運転するクルエラがとても印象的に描かれていたから。
きっと何度も見直したくなる作品になる。大満足。
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