黒羊

ヤコペッティの 残酷大陸の黒羊のレビュー・感想・評価

ヤコペッティの 残酷大陸(1971年製作の映画)
3.9
モンド映画の巨匠、ヤコペッティ監督の問題作!

以前に「ヤコペッティの大残酷」を鑑賞してから、この監督の映画の世界には拒否感を持ちつつも何か癖になるようなものがあって…。
かといってファンや作品購入までは絶対至らないのだけども。

近所のレンタル屋の「カルト映画」の棚に、この残酷大陸のVHSがあった。このDVDの時代にVHSを並べてまで主張している所を見ると…
この映画のDVDを探してしまうのはもう仕方がない!見たくないけど見たい。怖くて手で顔を覆うけど指の隙間からガン見!そんな心境。

DVD版を置いているレンタル屋を探すが…やっぱりないwww
ええい!隣の武○野市まで検索ッ!と気合い入れたら…あった!インターネッツ万歳!!

そこの店には、やっぱり近所にない「デッドゾーン」も置いていたので、ソッコーで行って借りてきました。

前置きが長くなりましたが(いつもですけど)、ヤコペッティさん率いる撮影チームが、黒人奴隷が当たり前だった時代にタイムスリップし、人々にインタビューしながら取材していく…といったドキュメンタリー風な内容。船でアフリカからアメリカへと黒人が運ばれる所から始まりますが、

いやぁ…よくこんな絵を撮ったなぁ…

と思わせるシーンの連続。
エキストラの数やセット、残酷描写も凄い気合い入ってますわ…

奴隷となった黒人は男も女も殆ど全裸だし、子供や赤ちゃんまで「過酷な状況」を演じさせている。

映画だと分かりつつも、撮影だと思いつつもやはり顔を背けてしまう…が観てしまう。それはこの映画にあるコメディタッチの部分、悲壮感全開にしない音楽、編集とかカメラワークとか、それらが絶妙だからかと思う。バランスが凄いです。

勿論、お勧め出来る映画じゃないし、これが黒人奴隷の真実!なワケでは絶対ないですけど、黒人奴隷映画の「ルーツ」や「マンディンゴ」などとは違った、いや、この2本もショッキングですけど、同じ黒人奴隷のテーマだけど、また違ったショッキング映画だと思います。

「この映画は史実に基づき再現され、登場人物は全て実在する」

これがどこまで本当かは分かりませんが、近からずとも遠からずなのかもしれません…ラストにも驚かされました…

あと攻めてる時の音楽いいですね!
ドコドコドコドコスッタンススタン!

ラストあたりで「大残酷」に出てきた対岸っぽい所が出てたような。気のせいか。


しかし。人種差別は今も無くならないんですね。
黒羊

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