Violet

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのVioletのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ナンシー・ケリガン事件について前知識がほとんどないまま鑑賞したけど、事件の知識がなくても理解できるような構成だったので安心して楽しめた!

トーニャだけではなく周囲の人たちの証言も含めて構成されていたのがすごくおもしろい。
ちょいちょい再現VTR風?の中にいる人物たちがカメラの外側にいるわたしたちを振り向いて語りかけてくる手法とかも、より人物が近くにいるような感覚になってよかった。

トーニャの母親役を演じたアリソン・ジャネイの怪演はみどころ!一体何を考えているのか、トーニャを愛してるのかいないのか、無表情で表情が読めず、ミステリアスでなんとも言えない魅力を放っている。
それでも、トーニャが奮起すると力を発揮することを理解していたり、バイト代は全てトーニャのスケート代につぎ込んでいたり。不器用ながらにトーニャを愛している描写が垣間見られるのも良い。

主演のマーゴット・ロビーはハーレークイーンとかウルフオブウォールストリートとかのブロンド美女!みたいなイメージが強かったけど、今回はいい意味で裏切られた!
リレハンメルオリンピックの前の何かに取り憑かれたように笑顔の練習をするシーンは、見ていて鳥肌が立った。
こんな演技ができる女優さんだったんだ!っていう印象(何様)。

あとは、スケートリンクでのカメラワークは、見ていてまるで一緒に滑っているような感覚になって、すごくよかった!普段テレビでフィギュアスケートを見ている時は、音楽がメインで聞こえているけど、この映画では"氷の音"がすごく印象的で、緊張感と臨場感が伝わってきた。

“トーニャはアメリカそのものだった (Tonya was totally American.)”
っていうコーチのインタビューの言葉がまさにという感じ。
アメリカでは、愛すべき存在と、憎むべき敵が必要。
トーニャは多くの人から愛された一方で、多くの人から憎まれた。
結局この映画では何が真実であったのか語られたわけではない。
人の数だけ真実がある。
それがこの映画の答えなんだと思う。
Violet

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