シネパピ

アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダルのシネパピのレビュー・感想・評価

4.0
才能に恵まれていながら
母の愛と教育に恵まれなかった故に
人生の歯車が少しずつ狂っていく
トーニャ・ハーディングの半生を
シニカルに描いた良作

世間一般の彼女に対するイメージは
概ねネガティブな印象が多いと思う。
自分もこの作品を見るまでは
ハーディング=ビッチ
のイメージだった。

しかし、この映画を見るとどうだろう
作品中にトーニャも言っていたが
真の加害者はマスコミが作り出した虚像を
疑うこともなく信じてしまう大衆こそ
非難されるべき存在ではないだろうか

と、偉そうに書いているが
そんなお堅い作品ではなく
エンタメとして十分楽しめる作品

普通なら悲壮感あふれるシーンも
ポップミュージックが流れ
わざとコミカルにしたり、
登場人物が物語中にもかかわらず
突然自分語りをしたりなど、
演出の素晴らしさが際立つ

カメラワークも素晴らしい
「どうやって撮ったんだ?」と
思わず考えてしまうカットも多数あり

マーゴット・ロビーの役作りも素晴らしい
プロと見まごうほどのスケートテクニックは
相当な努力があっただろう
表情も豊かで心動かされる

エンディングも良かった
トーニャ・ハーディングが人生で一番輝いていた瞬間を映してくれた。
どうしょうもない彼女の半生を見てきたからこそ、あの一瞬の美しさが際立っていた。
シネパピ

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