ノラネコの呑んで観るシネマ

デ・パルマのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

デ・パルマ(2015年製作の映画)
4.4
本人が語るデ・パルマ映画史。
学生時代の自主映画から「パッション」に至るまで、ほぼ全作を網羅している。
印象的なのは、自作に対する非常に客観的な視点で、ヒッチコックの影響から演出手法、さらに失敗作は何がダメだったのかも率直に分析して語る。
私の知る限り、映画監督は基本自作大好きな人が多いから、ここまで淡々と自作を振り返る人は珍しい。
若かりし頃、同世代の映画作家同士で脚本を融通しあったりしたエピソードは面白い。
インディーズのスピリットを、ハリウッドに持ち込んだ最初の世代だったんだな。
各作品の細かな裏話も、始めて聞く話ばかり。
「愛のメモリー」の現場での、クリフ・ロバートソンとヴィルモス・スィグモントの話は笑った。
基本ずっと本人インタビューなので、ディープな作家性への切り込みは無いが、観てるうちに過去の作品を再鑑賞したくなる。
ファンには必見。