チョマサ

デ・パルマのチョマサのレビュー・感想・評価

デ・パルマ(2015年製作の映画)
5.0
この映画は情報量が多いため、何回も見たほうがいい映画になっていて、教材と言ってもいい映画。ふたりの監督によるプライアン・デ・パルマ監督版の『映画術』といった作品になっている。
この映画の日本語予告で、座って語るブライアン・デ・パルマ監督が映っている。
この映画は最後以外、予告のあのカメラの位置からずっとデ・パルマが自身の生い立ちからフィルモグラフィーについて語り続ける作りになっている。話していることも自分がこの作品でやったことを分かりやすく論理的に説明していく。監督の仕事の進め方も話していて、別のロケ地を考えたりと、きっと、この人は仕事もテキパキとこなすんだろうなと思った。

座席に座って観ていると、さながら監督の講義を受けているように感じた。たぶん、この映画を撮った監督・スタッフは、自分たちの監督の話を聞く態度を映画にも反映させようとしている。

映画の作りかたの話もそうだけど、時折、当時の私生活のことや、ヒッチコックの映画をはじめとした影響を受けた映画の話もおもしろかった。
「ヒッチコックに影響を受けた者は多いが、ヒッチコック主義を追求しているのは私だけだ」という言葉だけでも監督のスタイルが伝わってくる。『リダクテッド』のエピソードや『スネーク・アイズ』のオリジナル・エンディングの話。監督の映画の名場面も網羅していてベスト盤のような趣もある。「映画監督は30代から50代に撮った作品にいいモノが多い」というのも参考になった。おすすめ。

パンフレットも最高の品で、次の内容が入っている。購入おすすめ。
・町山智浩さんへのデ・パルマについてのインタビュー。インタビュアーは平田祐介さん。
・尾﨑一男さんによるブライアン・デ・パルマ全作品解説。
・安田謙一さんの『ファントム・オブ・パラダイス』への記事と辻井タカヒロさんの漫画。
・タイム涼介さんのビリー・ドラゴについての記事とイラスト。
・ノア・バームバック監督とジェイク・パルトロー監督へのインタビュー。
・キネマ旬報の記事の再録。1986年から2006年まで。今野雄二さんと荻昌弘さんが書いた記事もある。
チョマサ

チョマサ