ベビーパウダー山崎

デ・パルマのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

デ・パルマ(2015年製作の映画)
4.0
ヒッチコックに心酔してヨーロッパ映画にかぶれて、自信家で適度に嫌な奴で、戦争に行かないため同性愛者だと嘯き逃げながら、平然と反戦映画を撮ってしまう図々しさもあったりして正にデ・パルマはデ・パルマ。「監督は体力勝負」「30から50代までが映画作家として最良の時期」「撮影を円滑に進めるのも監督の仕事」とか、フィルモグラフィーの歪さから作家性を頑なに信じて突っ走る気難しい変人のように思っていたが、冷静に現状(表現者として)を理解している才人タイプだったのは意外といえば意外。それにしても全作解説を聞きながら俺はデ・パルマ映画への「愛」を再確認していた。70年代から現在までほとんどの作品が「暴力と裏切りと死」にまみれている作家を愛さずにはいられない。『ミッション:インポッシブル』のこぼれ話(ロバート・タウンとの対立)とか最高でしょ。そして、やっぱりデ・パルマのベストは『カリートの道』なんだよなあ。