やわらか

夜明けの祈りのやわらかのレビュー・感想・評価

夜明けの祈り(2016年製作の映画)
4.1
第二次世界大戦直後の1945年12月、ポーランドの修道院で起きたソ連兵による暴行事件。この映画は、その後に妊娠してしまった修道女たちと、彼女らを助けたフランス人女医の話。正直、このような事件を元にした作品を、一人の「男性」として気軽に評価していいのかどうかという気分になる。
 
この映画でとても感銘を受けたところは、受け入れがたい事件をどのように受け取るかということを、修道女ひとりひとり異なった形で表現しているところ。信仰との板挟みになり絶望するものがいる一方で、望まぬ形の中でも生まれて来た子に愛情を感じ、教会を抜けて生きる選択をするものもいる。修道女になった経緯やひとりひとりの性格によって、違う選択をしていくところが、自分としてはとてもリアリティがあった。もちろん実際の彼女たちがどうだったかは分からないのだけど。
 
また、主人公の女医が、意見のまとまらない修道女たちへの協力をいったん止めようとするものの、自分自身がソ連兵に暴行を受けそうになってより問題を重く受け止めるようになるところも、ストーリーとして深みを出している。
 
映画としての主人公は、フランス人女医のルー・ドゥ・ラージュさん。若さと強さが同時にあって、(アメリカ的ではなく)ヨーロッパの女優さんらしいなという感じ。個人的にはルーさんよりも修道女たち、特にマリア役のアガタ・ブゼクさんの方が強く印象に残った。設定上、振る舞いが禁欲的な部分や素朴な部分が中心になるけど、たまに見せる個人としての女性らしらの部分がとても良かった。
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