ShojiTaniguchi

エクスペンダブルズ ニューブラッドのShojiTaniguchiのレビュー・感想・評価

1.7
往年の個性豊かなアクションスター達が集結し、ド派手で豪快なバトルを繰り広げる映画シリーズの第4作目。
シリーズの仕掛け人であるシルヴェスター・スタローンは今作にもチームのリーダー役で出演しているが助演の立ち位置に引いており、実質の主演はこれまでサブリーダー的な役を演じていたジェイソン・ステイサムに世代交代している。

このシリーズが作られたきっかけには、スタローンのようにかつて映画の世界で輝いていたスーパースター達が時代の変化や流行に取り残され、「消耗品 (Expendable)」 のような扱いをされたように感じたことへの憤りがあったという。
1作目を立ち上げ、主演と監督を兼任したスタローンは、なかば自虐の意味も込めてそれをタイトルや脚本上のチーム名にも取り入れ、自分達は老いてもまだまだこの業界で活躍できるのだと証明する映画を製作した。
その心意気がとても共感できるものだったからこそ、かつてアクションスターとして一斉を風靡したドルフ・ラングレン、ミッキー・ローク、アーノルド・シュワルツネッガー、ジェット・リー、チャック・ノリス、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ハリソン・フォード、そしてブルース・ウィリスといった超豪華な俳優達がレギュラーまたは特別ゲスト的に出演してきた。
そして、鑑賞者側もその映画の外側の背景やコンセプトを理解したうえで楽しめる、いうなれば祝祭的な側面があった。

シリーズを重ねる上での宿命なのかも知れないが、4作目となる今作では、そのコンセプトが大きくブレているように感じた。
ゲスト的な役柄でミーガン・フォックス、イコ・ウワイス、トニー・ジャーといったスター俳優が出演しておりそれぞれの見せ場もあるが、いずれの俳優も「Expendable」どころか現役で活躍できる世代だし、何よりそれぞれの俳優が持つ本来的な魅力と迫力が充分に伝わってこない。
これは単純に、今作の製作者達の脚本・演出・撮影・編集の力量の不足が、俳優達の格とのアンバランスになっているのだと思う。

俳優のことはさておいても、今作はアクション映画ならではの興奮を感じられるシーンがほとんどなく、退屈なテンポの凡庸な画づくりが続き、鑑賞前の期待値が高かった分だけ余計にガッカリしてしまった。
人物と背景の合成VFXが作品への没入感を削ぐレベルの雑さで気になったが、一方でミーガン・フォックスの肌は度を越したレタッチがかかっていてその違和感に笑ってしまうレベルで、全篇を通して感じる編集のちぐはぐな印象に、今作の製作者達の立場と軸の弱さを想像してしまい、何だか興ざめしてしまった。
脚本については、もともと1作目から雑で大味だと言われながらもそれが往年の映画を思い出させて良いという評価もあったが、今作に関しては大味というよりも無味に近い印象で、意外性や気の利いた展開もなく、その点も残念だった。

この映画シリーズに関しては、ド派手で痛快な面白さはもちろんのこと、製作に至った経緯やコンセプトにも個人的に大きく共感していたので、スタローンがこのシリーズの最後の出演作となると発言している今作では、有終の美を飾って欲しかった。
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