どらこ

許された子どもたちのどらこのレビュー・感想・評価

許された子どもたち(2019年製作の映画)
4.1
マジで苦しい。キッつい。

山形マット死事件、大津市いじめ事件、川崎中1殺人事件など、様々ないじめ事件を題材にした作品。
もうこの題材ってだけで重たいのがわかる·····

なんだろう、内容が実際に起こりうるっていうか実際に起きたわけで、映画を観ているというより現実を見ているような気分になった。

ホント邦画はこういう空気感の演出上手い。

なによりキャストがほとんど全員無名なので、ホントに実際の当事者を見ている感覚に陥る。

いじめで人を死に追いやった犯人の家族が、メディアやネットから袋叩きに合い、どこにいっても特定され地獄を味わうというのが大まかな流れ。
加害者家族がどういう手順で地獄に落ちていくか、その過程や環境の変化の描き方が丁寧。
あ〜こんな感じなんだ·····っていう。

こういう事件起きると確定で加害者家族が特定されてるので、現実も多分同じ流れなのでしょう。
ネットがいじめの抑止力になっているといいのだが·····

主犯格のキラ君はなぜこんな人間性になったか、というのも丁寧に描かれている。
今とは真逆で彼は昔いじめられっ子だった。
幼少期にいじめで顔を傷付けられ、それを見た母親はこの件がきっかけで異常ともいえる過保護になり、歪んだ教育を施してきた。
良い歳こいて超マザコン。
家族でカラオケを頻繁にいく描写が顕著な例。

自分は昔いじめられていたから、今度は捕食者になってやる。そういう信念が垣間見える。
こういった経緯で彼は殺人犯になった。

周りは地獄を見てんのに当の犯人は結局反省してないというのも胸糞ポイント高い。

それとは真逆でいじめ加担を断れず、被害者を見殺しにしたグリムくん。彼は自責の念に耐えきれず事件現場に毎年花を添え、涙を流していた。

そういった対比も少年たちの不安定さをよく描いてたと思う。


まあなんというか、被害者目線としても加害者目線としてもどちらも丁寧に描かれてるので、精神的ダメージが凄まじい。

何故か被害者家族もネットで晒され叩かれるという、誰も救われない世界。
これが日本なのだ·····


とにかく苦しい映画です。
見たら間違いなく落ち込みます·····



グリム君とかショーン君とかキラ君とかクズが軒並みDQNネームなの草
どらこ

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