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カーゴのSY3KRのレビュー・感想・評価

カーゴ(2017年製作の映画)
3.5
本作は元々短編であったが、好評を博したため4年の歳月を経て長編へ生まれ変わった。まさにアメリカンドリームど真ん中の話で、監督のベン・ハウリングとヨランダ・ラムケは実質これがデビュー作となった。

2018年に高評価を得たゾンビ映画には、ミュージカルと掛け合わせた『アナと世界の終わり』、一歩も部屋の外に出ない男の孤独を描いた『リビング・デッド・サバイバー』があったが、それに続きまたしてもユニークな設定の作品が誕生した。

噛まれてすぐではなく、48時間後にゾンビという時限爆弾方式が面白い。このため本作はゾンビ映画のジャンルに属しながら、余命宣告を受けた主人公のエンディングノートをたどる旅路のように進む。テーマゆえ絵的なインパクトはほとんど感じられないのだが、主人公の置かれた状況1つでストーリーをドラマティックに演出している。

ジョージ・A・ロメロはゾンビ映画を通して人間の暗黒面を描いたが、『カーゴ』は真逆に位置すると言っても良い。ゾンビが徘徊する残酷な世界にも人間の善意があること、救いがあることを説く。これもまた斬新で、確かに他ではなかなか見られないオリジナリティに富んでいる。

主演を務めたマーティン・フリードマンの堅実な演技もさすがで、確かな見応えを感じられる一作だ。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:87%
・観客支持率 :67%
「本作はゾンビというジャンルに新鮮なキャラクター主導のアプローチをとっており、オーストラリアという舞台とマーティン・フリードマンの素晴らしい役者ぶりによって、さらに際立った作品になっている。」
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