これは1回見ただけでは全体が掴みきれず、モヤモヤ感が残りストレスに感じる作品だ。ましてや最初の評価は見た人の人生経験度数やその時の心のコンディションによって随分と変わってしまうだろうと思う。なので2回は見て欲しい。
弁護士の重盛は被疑者・三隅に近づく程に翻弄される。裁判で勝つ為の戦術に紐付けて真実を作り上げてきたつもりが、なかなか思うようにならず、終盤には更に思いがけない展開になる。何が真実で誰が正直に話しているのかは明らかにされない。それでも作品にしっかり向かい合えば見た人にとっての真実はきっと見つかる。それはもしかして時を経て改めて作品を見直してみると、また異なった真実にたどり着くのかもしれないが。
役所広司の演技は三隅のキャラクターを完璧に出しているように思われ素晴らしい。
そして日本の司法制度の歪みというか、虚構というか・・・既定路線に乗ってしまった後では法廷は何が真実なのかを明らかにする場ではなく、合理的に終結させる場所となり、その空気を変えるのは相当に困難であるようだ。
重盛の言うように、三隅はそれまでの経験からそれを分かったうえであのような行動に出たのか。真実は明らかにされないが、3度目の殺人というタイトルの意味と照らして今時点の私なりの解釈をしたつもりではある。
