おなべ

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれたのおなべのレビュー・感想・評価

3.7
「ボストンストロング」ボストンよ 強くあれ。2013年に実際に起こったボストンマラソン爆破テロ事件に基づいて作られた映画。『パトリオット・デイ』がボストン・マラソンの爆破テロ事件の全容に重きを置いて描かれた作品であるのに対し、今作は1人の英雄(被害者)と彼を支えた恋人に焦点を当て、ユーモアとシリアスを混ぜ合わせながらテロ事件後の人生を描いたヒューマンドラマです。(当事者の回顧録を基に制作したそう)
複雑な精神が見え隠れする主人公を見事に演じた《ジェイク》は相変わらずの安定感で、難しい役にも関わらず当人の人間的な弱さなどの機微をリアルに全身で表現してました。脇を固めた出演者達も《ジェイク》に引けを取らないくらいリアリティ溢れる迫真の演技でgood。

決してテロリストとの勝ち負けの問題ではないという事、理不尽な出来事でもきちんと向き合わなければいけない現実であり、その後どう受け止めどう行動するか。現実を受け止めどん底から立ち上がり前へ進む事で、例え己の意志では無いにしても人々に勇気と感動を与える事ができるのは本当に素晴らしい事だと思います。不謹慎だけど正直主人公が少しだけ羨ましくも感じました…。

《ジェイク》扮する主人公《ジェフ・ボーマン》の、悲運に耐えられず悩み苦しみ現実から目を背けてしまう様に、はたまた悲運に見舞われながらもその葛藤をバネに力強く生きる姿に思わず涙。単に被害者としてではなく、ボストンストロングの象徴として、そして1人の父親として不格好ながらも隘路を切り開いていく様に心打たれます。また人間関係が中々うまくいかずにすれ違いが生じるのは、おそらく誰もが共感できる内容であり、こういう時に自分がどうするべきか・どうあるべきかを考えさせられる内容です。
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