ガンビー教授

A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリーのガンビー教授のレビュー・感想・評価

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良くも悪くもワンアイデア系の作品という印象。

悪くはないし、ライティングや音響も頑張っているように思える(特にライトが良い)。けど、そういった要素はあくまで、ライティングならライティングが、音響は音響が個別に頑張っているという印象も受ける。

ルーニー・マーラのメランコリックな顔とかも良いんだけど……(一方で、これは撮り方の問題なのかもしれんけど、さすがにケイシー・アフレックは自分を殺しすぎじゃなかろうか……『マンチェスター・バイ・ザ・シー』とかも見たけど、ああいう役者なのか、撮り方なのかまだ掴み切れない)。

役者にすべてを委ねた長回し演出も、トリッキーな設定ゆえのことではあるし、「これは演出だ、これがこの映画のトーンだ」というエクスキューズもいちおう機能するようにはなっているけど、正直なところ撮影、ライティング、役者といった個々に仕事を投げて映画を放棄している瞬間のように見えなくもなかった。「役者にすべてを委ねた長回し」というのはある意味で映画の禁じ手みたいなもので、禁じ手であることを理解してやってるなら良いんだけど、そういった節度とともに撮られ編集された映像なのかな、という疑問もちょっとある。

同じホーンテッドハウスもので、映像が幽霊視点に移り変わっていく作品というとNetflixで見られる『呪われし家に咲く一輪の花』ってのがあるんだけど、(志向するところが異なる作品なので比べるのはフェアじゃないかもしれないが)例えばあれほど画面を緊密に撮れる人が同じ物語を撮ってたらどんな風になってたかなー、とか思わなくもない。

なんか意地の悪い評し方になってしまったんだけど悪い作品じゃないし、ここは面白いな、と思った部分もいろいろあるけど……自分の体調とか気分が作品のトーンに沿わなかっただけかもしれん。
ガンビー教授

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