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さらば愛しきアウトローの教授のレビュー・感想・評価

さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)
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ロバート・レッドフォードの俳優引退作、ということでひとまず「お疲れ様でした」なのだが、結論から言えば少し、映画の出来が古臭過ぎるという感がある。

意図的なのか結果的になのかはわからないが、上映時間94分と短めで観易いのは良いのだが、あまりに淡白に物事が進み過ぎて、味気なく感じる。
加えて、ロバート・レッドフォードのおじいちゃんっぷりが、要は生き方を変えられない困ったジジイなのだが、見た目は(昔は)言っても2枚目だったし、スーツ姿なんかも超絶オシャレだったり、何せ「楽しく生きたい」なんていうノリノリなぶん、味わいとか哀愁とか、年数を重ねただけの渋みがまったくなく、文字通りの「生き方をかえられない(だけの)」イケ好かないジジイになってしまっている。

何せ、彼に想いを入れ込むだけの描写がなく、シシー・スペイセク演じる「男はつらいよ」とか「幸福の黄色いハンカチ」の倍賞千恵子のような役回りなのと、ケイシー・アフレックの刑事も、現状に不満アリアリで且つ、実際のところ何も変わることなく現状を受け入れていくだけなので、結果的に、人物の心情において何も進展がない、というストーリーになってしまっている。

レッドフォード的にはクリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」や「運び屋」のようなイメージがあったっぽい、と見受けられるが、結果的に全体の古めかしさと、薄っぺらいストーリーラインで映画自体も現代にコミットできない、あるいは生き方をアップデートできない「おじいちゃん映画」になってしまって残念。
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