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oasis FUJI ROCK FESTIVAL'09のgogotakechangのレビュー・感想・評価

oasis FUJI ROCK FESTIVAL'09(2016年製作の映画)
4.0
正直なところ、ワタシはそれほどOasisのファンではない。
"Don't Look Back In Anger"の爆発的な売れ方に「エッ?」と興を削がれてからは、レコ屋やショップやレストランで聴こえてくる「流行歌」を歌うバンドとして接してきた。
だからライブなんて行く気すら湧かなかった。増してや"フジロック"なんて。
しかし、別にキライなバンドではない。むしろ2ndアルバムまでは熱心に聴いていたのだ。
だから久し振りに友人に会いにでも行くように、ホントにフラリと劇場を訪れた。
ところが、映画が始まった途端にエンジン全開。雨も降ってるし、解散寸前だし、バンドの状態は最悪だったはずなのに、演奏も構成もベスト!ライブ・バンドの面目躍如といった「ナメんなよ!」的パフォーマンス。
中でも驚いたのがノエルの"Don't Look Back In Anger"。
この曲がライブ毎に大合唱になるのは知っていたが、この時のフジロックの観衆は、雨の中とんでもなくハイで、うねるように、どよめくように、天を劈くように歌っていた。それはまるで、ヒトラーの演説に酔い、喝采を浴びせる戦前のドイツ国民のようだった。
この瞬間を実際に体験した人は、おそらく何か特別なものを感じたのではないか?
同時にこの曲の背負わされた「宿命」のようなものを知った。
国境も人種も言葉も越え、人々の熱狂を前に、この静かな曲はクールダウンさせるのではなく、燃え盛る炎に石油を撒き散らすように、興奮のボルテージを上げる効果がある。
ちょっと空恐ろしくなった。
しかしすごいバンドだと、改めて思った。
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