Habby中野

オン・ザ・ミルキー・ロードのHabby中野のレビュー・感想・評価

4.3
ついにエミール・クストリッツァの達した場所か。博愛主義、博愛主義!
創世記、そしてチャプリンから寺山修司まで。これがクストリッツァの、いや人間の歴史すべてが集大した姿。詩であり歌である、オン・ザ・ミルキーロード。
人間の生と死、愛と夢、結婚とそして……。これまでクストリッツァが過剰なまでに描き訴えてきたそれらが仮面を外してしまったような境地で最後に行われる、のは、葬式ではなく、哀悼であった。生の数だけ、営みの数だけ、一つずつ積み広げていく悼みの愛。心だけが残ること。カメラを止めるな、結婚式を止めるな。世界が終ろうとも愛し、悼み続けよう。
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