Habby中野

ダ・ヴィンチ・コードのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

ダ・ヴィンチ・コード(2006年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ミステリー・サスペンスとしてはあまり好きではない作り。まるで(まあ実際そうなのだろうけど)、設定と結末が先にあってただ逆算して物語を逆さに作った、物語が転倒したまま起き上がれないような脆弱さだった。「この人物が実は……」の繰り返しが招くのは語り手への不信などではなくもっと大きな、作り手への不信だ。
一方で、その膝を擦りむいた物語の中で強度を増す「聖杯」を巡るストーリー。オチとしての”真実”はインディージョーンズ的で真新しくもなかったが、やはりこれだけの歴史ある宗教の物語に新解釈、というよりも「続編」を見いだすことは、言葉を選ばずに言うと何よりもおもしろい物語の追求だと思う。聖書の物語、そこからこぼれ落ちた物語、それらを巡って発生する物語。人々が信ずるのは神か、人か。いや、少なくとも人々を救ってきたのは神ではなく、神にまつわる「物語」だ。その物語の上に、まだわれわれはいる。
Habby中野

Habby中野