takanoひねもすのたり

ダブルミンツのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ダブルミンツ(2017年製作の映画)
3.0
原作既読。

ある日、会社で仕事中の壱河光夫の元に一本の電話。相手は高校の同級生で同姓同名の市川三央、今はあるヤクザの組の下っ端のチンピラ。
彼は開口一番『女を殺した。ここへ来い』と彼を呼び付ける。

原作より性愛描写は控えめになっており、その分、暴力描写が多め。

高校時代からの空白期間から今回の件で再会したことにより、かつての主従関係及び共依存(支配関係によって成立する自己存在意味……かな?この場合)の関係が再燃したことにより、まるでお互いで融合しそれに反発ようなヒリヒリした感覚が、概ね原作のイメージを損なうことなく再現されていたように思いました。

女性を介して、相手の残り香(というか味?)を吸い尽くす行為……これフィクションでは有りな歪んだ愛欲だと理解できるんですが、病んでますねぇ……目の前で抱いてる女性の体に残された相手の痕跡をひたすら求める……っていうのを高校時代で自覚し強烈に経験してしまったら、もう何か戻れないかも知れないかも知れない。

BLという要素を差っ引いても、観るひとを選ぶというか、苦手な人はとことん苦手なタイプの作品かも。

個人的にこの映像化は有りだと思いました。
削った部分があり、2人の関係性の説明も映像と彼等の台詞だけでは理解し難い点があると思うのですが、原作を損ねまいとしている、原作への敬意があるような気がしました。