アニマル泉

テオレマのアニマル泉のレビュー・感想・評価

テオレマ(1968年製作の映画)
5.0
パゾリーニ節が炸裂した濃密な作品だ。可笑しいのは男は必ず脱がされる。テレンス・スタンプもマッシモ・ジロッティも。ジロッティは駅で全裸になり、ラストは火山を全裸で歩かさられる始末だ。パゾリーニは大衆の顔を頻繁に挿入するが男たちはやたら美男子だ。
本作は視線劇である。見た目の対象と見ているアップで構成される。一方でロングショットが多く、シンメトリーや縦構図が強調される。衣服、下着へのフェテシズムが濃厚だ。女たちがよく走る映画である。
訪問者(テレンス・スタンプ)は天使のような存在だ。ブルジョワ家庭に何故か住み着き、全員と関係してそれぞれが自立したり覚醒する。しかしスタンプの存在感は希薄で霊的な天使のようだ。
アンヌ・ヴィアゼムスキーは目が閉まらず硬直してしまう。女中エミリア(ラウラ・ベッティ)は人々に奇跡を起こす預言者になる。子供の疱瘡を治し、草しか食べず、空に浮揚して、生き埋めになる。
音楽はエンリオ・モリコーネ。
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