けーな

劇場版 嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~/ヘンリー六世 PART1のけーなのレビュー・感想・評価

4.1
このシリーズを観始めて、前回までは、前作が1番面白いと思ってたけど、これを観たら、話に猛烈に引き込まれ、こっちの方が面白いと思えてきた。しかし、内容は、かなりドロドロ。

前作では、平民にも慕われるヘンリー5世の気概ある姿に惚れ込み、プラスの気持ちが湧く作りだったけれども、今作は、とてもダークで、負の気持ちが充満した作り。ヘンリー6世の周りにいる側近達が、とても腹黒く、王の玉座を狙い、争う様子が見苦しい。

周りの枢機卿達のみならず、フランスから王に嫁いできたマーガレット王妃の腹黒さが、1番酷い。サマセットとの浮気も、あれは、最低だ。

人間の強欲を描かせたら右に出る者はいないと言っていいシェイクスピアの手腕が光る話だったな。

気弱な王様を演じるトム・スターリッジが、はまり役だったと思う。現実には、気弱どころか、かなり重い精神疾患があったそうだけど。

愛する甥のために尽くしてきた、誠実なグロスター公が、お気の毒。「パディントン」で夫婦を演じたヒュー・ボネヴィルとサリー・ホーキンスが、ここでも夫婦役。やっぱり、2人は、巧いな。

そして、王妃マーガレットを演じたソフィー・オコネドの演技力には脱帽。裏で悪巧みしておきながら、王の前では、泣いてみせる、あの演技が、お見事だった。

しかし、私は、マーガレット妃の配役は、どうも気に入らない。最近の流れだけど、彼女の肌の色が、史実とは異なっているから、申し訳ないけど、違和感を感じちゃって。人種差別や偏見ではなく、時代考証は合わせて欲しいと強く思うので。それと、マーガレット妃を演じるには、彼女は、歳が行きすぎてるなと思った。メイクしていても、アップになったら、老けてるんだもの。歳を調べてびっくり。ソフィー・オコネドは、1969年生まれ。嫁いできた時に、24歳だったマーガレットを演じるのに、50超えの女優は、無理がある。1985年生まれのトム・スターリッジと、親子に見えちゃう。弱々しい王を牛耳る妻ってことでも、ちょっと無理あるなと思った。
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