トモ

羊と鋼の森のトモのレビュー・感想・評価

羊と鋼の森(2018年製作の映画)
4.9
映画 羊と鋼の森

メチャクチャ良かった、途中から完全に引き込まれてた

美しい映像と音楽、繊細で言葉少なでありながら常に流れ染み渡る一貫したメッセージがその要因

外村直樹(山崎賢人)が高校の時にピアノと調律に出会い魅せられ、その世界に飛び込み、迷いながら経験を重ね人と出会い成長していく様と、

奥深く神秘的でありながら先の見えない迷路のような森で佇み彷徨いながら出口を探す姿が常に視覚として重なる

直樹が迷い傷つき苦しむ様を言葉少なに励ます板鳥(三浦友和)と、森から抜け出す直樹を外で待つ祖母のキヨ(吉行和子)も、直樹を信じ温かく見守る存在として重なる

ピアノと調律の奥深さ、きめ細やかさは本当に丁寧に描かれていた

ただ音を合わせるだけではなく、弾く人の背景は様々であり、それぞれの要望や見えない部分を感じる事も調律師の大切な役目

調律師として高みを目指す柳(鈴木亮平)と、理想を語る外村と、「調律師がしゃしゃり出てどうすんの?」とあくまでもピアニストを支える裏方であると言う元ピアニストの秋野(光石研)

家族と愛犬を失い、常に幸せの空間にあったピアノを触らなくなった南(森永悠希)

姉妹でありながらお互いを意識し嫉妬や劣等感を抱き、才能という部分で葛藤する和音(上白石萌音)と由仁(上白石萌歌)姉妹

様々な背景をもったピアニストと調律師がどう向き合うのか、この映画を観るまではそんな事考えたことも無かった

音が出せずもがき苦しむ和音を水中から必死に水面に上がる姿に描写したり、ピアニストとして何度も高い所から飛び降りる夢を見続け、やっと自ら飛び降りたという秋野の話といい、この映画の比喩が素晴らしい

「何をするにしても正解が分からない、見えないから迷う訳で、だったら今やっている事を好きでい続けて諦めず一つ一つ重ね続ける事で答えに辿り着ける」という全ての人に共通するであろう最大のメッセージを、監督スタッフキャスト全員が共有している事がこの作品のクオリティだと思うし、映像と音楽もその一貫した比喩とメッセージを倍増させる要因になってると思う


山崎賢人君は毎作品思う事だけど本当素晴らしい俳優

受け取る演技がとにかく凄い、役に入り込んでいるということに他ならない

そして橋本光二郎監督と脚本金子ありささんの「orange」トリオ、楽しみで仕方無かったし、やはり繊細さと美しさに引き込まれた

上白石姉妹も美しかった

三浦友和さんも鈴木亮平さんも堀内敬子さんも光石研さんも好きな人ばかり

今日一回しか観てないから言い尽くせてないし、感じ尽くせてないし、また感じに行きたいです!
トモ

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